• 2021.12.09
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「箱根小涌園 三河屋旅館」で孫文の書を見る

創業明治16年(1883年)の伝統と風雅の宿、「箱根小涌園 三河屋旅館」の本館は、国登録有形文化財に登録されており、画家の竹久夢二、歌人・与謝野鉄幹、晶子夫妻、中国革命の父・孫文が宿泊したことでも知られています。

唐破風入母屋造りの玄関を入れば、文人墨客が愛した当時の三河屋旅館の雰囲気が、そのままに漂っています。丁寧に磨き込まれた部屋の柱や窓枠、そしてカタカタと窓ガラスを揺らす風の音に、三河屋旅館が持つ140年の歴史が感じられます。

中でも孫文が宿泊した部屋は、大正の時代へタイムスリップしてしまったかのような空間です。鴨居に掛けられた「山水清幽」の書は、箱根の自然の美しさに魅了された孫文がその感動を墨にしたため、当時の旅館の主人に送ったもの。

「山水清幽(さんすいせいゆう)」の「清幽」とは、世俗を離れ、清らかで静かなことを指します。革命家として激動の一生を送った孫文は、ひととき箱根の自然に包まれながら、癒やしの時間を過ごしていたのでしょう。

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